ケーキは美味しかったよ。
でも、友達が臨月のお腹抱えて幸せそうに笑ってるの見て、旦那とのほのぼの話を聞いて自分がとんでもなくミジメで鏡に映る自分の姿は醜く見えて、落ち込んで帰宅した。
友達は臨月でお腹大きいけど、私はただの醜いデブ。
私は今の生涯は結婚もしないし、妊娠もしないと決めてる。
理由は簡単。どの男性を見ても私が見てるのは18歳の時に初めて付き合って、キスもHもデートも女の幸せを与えてくれた不倫相手の30才年上の《N》という男性だけ。
いま、私は33才。別れてもう15年かな?
「不倫なんて、私の為にも彼のためにも良くない。彼が大切にしてる家族を私が壊すことになるからこのままじゃいけない」
とか、当時の私なりに懸命に考えて、本気で好きだから、愛してしまったから、本気で愛してると自覚したから、苦渋の決断をして私から別れを言った。
彼は最初は笑顔で了承してくれた。でも、こらえきれず私が産まれて初めて声をあげて泣いたらそれにつられるように彼も泣きながら、でも一生懸命に笑顔で「バイバイ」って車の中で言ってくれた。
それからの私は半年くらいは自然に笑うことが出来なくなってた。
だんだん笑えるようになると、私を「好き」と言ってくれた人と付き合ってみたけど、だけど私はいつでも目の前の彼じゃなくてNの面影を探して、無意識に彼とNを比べていた。
そう、どんなに時間が経過しようが私はNしか見えていなかった。
どんなに悩んでも、考えても私にはNだけが恋愛対象で他の男には少しの興味も無い。
寂しいからって付き合ってみた人もいたけど長続きしなかった。
だから、相手が「好き」ではなくて私が「好き」と思える相手が出来るまでは誰とも付き合わない事にした。
でも、そんな事を決めてから早くも10年ぐらいの時間が経つ。
もちろんNと別れてからは、メールも電話もしてないし、一度も会ったりもしてない。
それなのに、夢にNが出てきたり、ふとした瞬間にNの優しい笑顔を思い出したり、最近は、彼の仕事柄ネットに職場の人達との写真を見つけたりしたときは、涙が流れて鼓動が早くなって言葉にならない位に嬉しくて嬉しくて顔が緩んで笑顔が止まらない事があったばかり。
未だに私は彼を愛してる。15年という時間が流れて私は震災を経験して家も自分の居場所すら失くしたにもかかわらず、彼への気持ちは全然色褪せない。
15年前と変わらず私は彼を愛してる。
声も聞けないし、会えない、写真で顔を見ただけなのに、信じられないくらいに幸せになれる。
そんな存在は彼だけ。
私は悲劇のヒロインを演じてると思う人もたくさんいるだろう。
でも、私の中では1番鮮明で1番幸せな大切な時間で大切な想い。
そして、その大切な想いだけが今の私の心の支え。
だから、私はこの生涯を独身で貫き通す。私が愛してるのはNただひとり。
彼以外と夫婦には絶対になれない。彼の子供以外は欲しくないから。
だからこの一生は彼の為だけに使いたい。
私は私の幸せを見つけたのかもしれない。
でも、ささやかでも私が叶えられない幸せを掴んでる友達を見ると嫉妬しちゃうな。
一生を捧げてもいいと思える人に出会えて私は幸せなんだと思う。
そう自分に言い聞かせる。
現実はわかってる。行き遅れ、売れ残りとか言われようが私は構わない。
私は彼の為ならどんなに辛くてもミジメでも生きていきたいな。
生まれ変わったら彼が奥さんにしてくれるって約束してくれたし。
私と手を繋ぐだけであんなに嬉しそうに笑う人は他にいない。
今夜も彼が夢に現れますように。